2021/08/03 17:23

便秘で悩まれている女性は多いです。

話を伺うと10年くらい便秘で、毎日ピンクの小粒を飲んでいらっしゃるという・・・・。

漢方薬に移行しながら、体質改善しましょう、いうことになりました。


便秘というと、大腸のこと、便のことしか考えない方も多いかと思います。


便秘も、カラダ全体がどういう状態かで、原因が異なり・・・結果、便が出にくくなっているので、その原因である、体質になってしまっているところを変えてあげる必要があります。

ですから、最初は、下剤効果のある生薬を含む漢方薬を飲みますが、だんだんに体質改善にせまっていく必要があるのです。

まず

便秘にはいくつかのタイプがあり、タイプ別に漢方薬を選ぶ必要があることを知っていただきたい。

1.便が固くなってしまって出ないタイプは【大黄甘草湯】

 その中でも、体の中の熱によって水分が蒸発してしまっている(熱結)

便秘の漢方薬にはほとんど、大黄という生薬が使われるのです。
大黄はタデ科の植物の根茎なので、センノシドという成分に下剤効果があるのですが、

熱で腸が乾燥しているタイプは、熱を取り除いて腸をうるおさなくてはならないです。
この人は【大黄甘草湯】という大黄が多く入っている漢方薬で一気に排せつすることが大切です。

便秘で食べ物が胃腸に体積していると、吐き気することになったりしますから、下から堆積物を出してあげないと、どんどん熱が上にあがって、頭痛、のぼせ、湿疹、吹き出物、などの不快な不調として体に出てきます。

ですから、我慢せずに、出してあげなくてはいけないのです。

2.腸のうるおいがなくなって起こる乾燥便、コロコロ便(血虚)には【麻子仁丸、潤腸湯】

 高齢、産後、術後などの理由で、腸のうるおいがなくなり、血不足になっているタイプの便秘です。
  
この腸が乾燥タイプは、血が足りないことで体のうるおいがなくなり乾燥が起こりますから、腸を潤して排便させます。


麻子仁丸は[麻子仁、大黄、枳実、厚朴、杏仁、芍薬] が入っていて、麻子仁が中心になる漢方処方ですが・・・仁は種 のことで、、油成分が入っていますから大腸まで届いてゆるゆると出してくれるという作用です。

潤腸湯も麻子仁丸と同じ作用ですが、、麻子仁の量が少なく、当帰や地黄という、血を養う成分が多く入っているので、血虚を改善することにさらに重きを置いています。


ですから、麻子仁丸で便が出るようになったら、段階的に潤腸湯に変えるというのもいいと思います。
その後は血を補う漢方薬に切り替え、又、生活、食が大切ですから、しっかり睡眠をとって
食生活でも血を補えるものを豊富に食べるなど、生活改善が必要ですね。血は夜つくられますので、早寝が大事です。

3.気が足りなく、腸の働きが悪くなってしまっているタイプは【補中益気湯、六君子湯】

気虚により腸が過労、病気の後で、腸を動かす力がなくなってしまっているタイプです。

補中益気湯は・・・下剤の大黄も入っていませんので、便秘薬とも書いていないです。
人参、白朮、黄耆、当帰、陳皮、大棗、柴胡、甘草、生姜、升麻
が入っていて、
気を補うための処方なのです。
人参、白朮、甘草が脾、胃の気を補う
黄耆が脾気を補って下がってるものをもとの位置に上げてくれる。
柴胡、升麻という生薬で下垂したものを上げてくれます。

六君子湯は・・・人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、甘草、生姜、大棗

補中益気湯より、もっと脾の働きをサポートして、水の流れもよくしてくれるように作られています。

 

4.ストレスや運動不足によって気が滞り(気帯)、一連の消化、排せつという流れが滞ってしまうことによる便秘タイプには【大柴胡湯、加味逍遙散】

このストレスなどで気が滞っていることで、生理作用である排便がうまくできなくて、ガスなどがたまってしまっている便秘タイプには気を通らせて排便を促す漢方薬が効果を発揮します。
これも便秘薬とは記載されていません。


大柴胡湯は・・・気のつまりがおなかに溜まってしまっているような人、体力のある人用で、うっ結した気を発散させて、便を出す・・生薬です。


加味逍遙散は・・・ストレスをためこんで鬱のような状態の人に出す漢方薬なのですが、このストレスため込んでお腹に気をためてしまい便が出ない人に効果のある漢方薬です。

 

5.腸が冷えてしまって動かないので便が出ない人・・・【小建中湯、桂枝加芍薬湯】という漢方薬があります。

冷えによって腸が動かないタイプ  このタイプはお腹に痛みがあったりして最初は便が固くて出にくいけれど、途中からは軟便になっていることが多いです。(虚寒)

2つとも気を補い体を温めて排便を促す漢方薬です。
小建中湯は・・・桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草 が入った、甘くて体を温めるもので、子どもの疳の虫に良く出されるものでもあります。

桂枝加芍薬湯は・・・桂皮、大棗、生姜、芍薬、甘草
これも体力がないお年寄りにも安心できる生薬ばかりで、体をあたため、胃腸の働きをようして腸の動きをうながす漢方薬です。


便秘という症状が同じでも原因は様々なので使う薬は違うのです。

このように、症状が同じ便秘でも、体質や、便秘になった原因によって、使われる漢方薬は違います。
排便というのは本当に大事な生理機能で、つまっていると体の中が動かなくなって
いろいろな悪い症状の悪循環に入りますから、是非ただしく自分のカラダの状況を知って
正しい薬を選んでいただきたいと思います。


もちろん薬に頼らず出せたら良いですが、放置しておくのが一番悪いことですので、未病のうちに治しましょう!


便秘のお話しはポッドキャストでもしていますので、ご興味のある方、お時間のあるかた、聴いていただけたら嬉しいです♪


「便秘薬から考える便秘」
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